1.間違いやすい筆順
書き順・筆順というのは字を書きやすくするためのガイドであって筆順が違っていても字が違ってしまうわけではありません。
ですから同じ字でも何通りもの筆順が実際にはあります。
なぜ筆順がいろいろあるのか
「筆順が変わる理由」を端的に言えば、目指す字のカタチが違うからです。
「書」という字なども、行書では先に横画と「日」までをくるくるくる一気に書いて最後に縦画、という流儀の人が多いですね。
書き順の基本は「上から下」「左から右」「十字は横画が先」「人」や「メ」は「ノ」が先です。
時代とともに書き順が変化したものや書き順が1つではない漢字もあるようです。また、書体によって書き順や画数が変わるものもあります。

間違いやすい字例
- 漢字自体を書き誤りやすい…演奏・郵便・看護・秘密・綿密(図1)
- 他の漢字と区別して使い分けないといけない…臨む・機会・絶対(図2)
- 楷書の点画としてハネやトメをきちんと書き分けないといけない…専門・綿密・展覧(図3)
2.わかるかな?正誤
漢字の手書き文字について、「はねる」「とめる」など細かい違いで正誤はなく多様な漢字の形が認められている。(文化庁の文化審議会漢字小委員会)現代の常用漢字表でも、漢字には様々な書き方がありますが、細かい違いは許容されるとしている。
小学校教科書の活字について
小学校教科書の活字の形と、一般的に書かれる字形が異なる場合があります。どちらが正解というわけではなくどちらで書いてもかまいません。
ただし、小学校では、小学校教科書の活字の形に準じた方がよいかもしれません。
「海を臨むホテル」「海を望むホテル」
漢字「のぞむ」の使い分け、正誤は?
「望む」「臨む」のような同訓異字の使い方は……
- ・望む=希望、望見
- ・臨む=臨場・臨機
- ・「望む」は、遠くから眺める、一望できる
- ・「臨む」は、その場所に向かい対する
上記のように同じ語源でも何気なく油断してしまいそうな漢字が多々ありますので、意味の捉え方が大事になります。
同訓異字の例

3.数種ある筆順
筆順について
筆順とは文字の形を実際に紙の上に書き表そうとするとき、一連の順序で点画が次第に現されて一文字を形成していく順序といえます。従って漢字の字体を構成する重要な要素の一つです。
漢字の筆順については、内閣告示によって定められている常用漢字や現代仮名遣いとは違い、公的な基準は存在しません。唯一、公的な関与があるものとして挙げられるのが、50年以上前に出版された「筆順指導の手引き」が標準になっております。
筆順が複数ある漢字
漢字には複数の筆順が認められているものがあります。また行書の場合は筆順が変わることもあります。広く用いられる筆順が、2つ以上あるものとして、「上」「点」「店」「取」「最」「職」「必」「発」「登」「感」「盛」「馬」「無」「興」などがあります。
これらは例であって、このほかにも2つ以上筆順がある漢字は少なくありません

こぼれ話 書き順の成り立ちについて
筆順(書き順)は、昔の書道家や学者たちが、美しい字を早く書くために工夫を重ねるうちに決まっていったものです。だから、人や地域や書道の流派によって異なることもあります。中国と書き順の異なる例としては「右」が挙げられます。我が国では「右」の一画目は「ノ」となりますが、漢字発祥の地・中国では「一」です。