紙つくり
現在、和紙作りを支える原料は楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)の三種が中心です。これらの原料が紙になるまでには、紙の種類にもよりますが、だいたい十前後の工程を経なければなりません。
紙つくりの工程
- 水浸漬
原料をひと晩水につけて柔らかくする。 - 煮熟
消石灰かソーダ灰を混ぜて煮る。時間は約2~3時間。そのままひと晩釜の中に放置する。 - 水洗い
煮熟したあとの原料を水洗いし、繊維だけを取り出す。 - 漂白
天日漂白と塩素漂白の方法がある。漂白後は再度水洗い。 - チリ取り
水の中で少しずつ原料を広げて取る「水より」と、板の上などに原料を広げて取る「空より」のふたつの方法がある。 - 打開 繊維を細かくするため原料をよく叩く。機械を使うこともある。
- 手漉き
原料にトロロアオイやノリウツギなどからとった「ねり」を混ぜ、簀(す)桁(けた)で漉きあげる。流し漉きという方法が主流。 - 圧搾
漉きあげた紙を重ね、その重さで余分な水分を抜く。 - 乾燥
紙を板に貼って天日で乾燥させる方法と、三角柱の鉄板のなかに蒸気を送り込んで熱し、鉄板に貼った紙を乾かす方法。
和紙作りは、手間も時間もかかる大変な仕事です。また紙漉きは大変な肉体労働です。紙漉き職人さんたちの努力と技の結晶ですね。
漢字用とかな用
紙には漢字用とかな用がありますが、まず紙とは、
- 書作品等を表現するための用紙
- 書作品等を表現するための用材
です。
用紙、用材の種類は
- 和紙
- 中国画箋
- 台湾画箋
- 中国系加工紙
- 絹本(けんぽん)その他
などです。
漢字用紙(1. 2. は主に学童用の書写用半紙)
パルプ紙
墨の吸収がやや弱い
機械漉き
- パルプ紙に近い用紙
- パルプ紙だが墨の吸収が少し良い
- 機械漉きでにじみにくい用紙
- 機械漉きで少しにじみが出る用紙
手漉き半紙
和紙の伝統を受け継ぐ半紙
画仙半紙
かな用紙
にじむ紙は「かな」には不適当といわれていますが、最近は「かな」の作品でも漢字の紙を使用した作品が、かなり見受けられます。ただ初歩のうちはにじむ紙は書きよい紙とはいえませんね。
こんな紙もある
染め紙には、浸(つけ)染め(紙を染料の中に浸して染める)と 漉(すき)染め(濃く浸染めした料紙をほぐしてもとの水溶液状にもどし、それを別に漉いた白紙の上に流しかけて染める。部分的に置いたものを雲紙(くもがみ)、飛雲(とびくも)などという)、最後に引(ひき)染め(紙面を刷毛(はけ)で染める)などの方法があります。染め紙は原紙に色がつきますが、紙質は変わりありません。
装飾紙の「から紙」
次に型文様(かたもんよう)の美しい紙は「から紙」といいます。
から紙は平安時代に輸入された中国製の装飾紙のことをいいましたが、次第に日本でもつくられるようになりました。嬉しいことですね。
手漉き紙に具引(ぐび)き(胡分(ごふん)を膠(にかわ)で溶いて刷毛で塗ること。胡分は貝殻を細かく砕いたもの)し、その上に版木(はんぎ)の文様を雲母(きら)で摺り出してつくります。具引きすることで、もとの紙とは書き味が変わります。
料紙の上下規則
料紙には、さらに「切(きり)箔(はく)」「野毛(のげ)」「砂子(すなご)」などの金銀箔の装飾が加えられます。
二色以上着色された料紙は、原則として空色が上、茶色が下です。
文様のあるものは、その方向に従って上下を見定めます。
皆さんも美しい料紙に挑戦をしてみませんか。






