カテゴリー別アーカイブ: 全国塾紹介

東京書道教育会で師範資格を取得され、お住まいの地域で書道塾を開かれご活躍されている先生方をご紹介していきます。

Shinbi-classroom

書道教室 伸美Shinbi

東京都荒川区 「 書道教室 伸美Shinbi 」
塾長:竹井美帆子 2014年6月開塾

自己紹介

私が書道教室を開塾したのは、今から2年前。子供の成長と共に何か仕事を始めたいと思い、自分の得意だったこと、好きだったことは?と考え、小学1年生から12年間続けた書道を思い出しました。

文化交流から身近な文化継承へ

当時進学と共に上京し、書道から離れてしまいましたが、書道を通して「文化交流」に関わる仕事を探したいと思い、もう一度勉強させてもらうことにしました。

20年のブランクをすっかり忘れ夢中で書く私の姿を見て、小学校低学年だった次男が自分もやりたい!!やりたい!!と…その言葉に背中を押され、身近な人に教えることから始めようと思い改め、開塾させていただきました。

教室の特徴

当教室は、私が子供の頃田舎で学んだ広いスペースでの環境とは全く違います。
東京の自宅マンションリビングを都度改造?し、1回4~5人を時間制で回転させ試行錯誤しながら、現在は約30人の生徒達と賑やかに行っています。

こうしてリビングを使ってできるのは、家族の理解のお陰。特に主人は、帰宅すると「墨がいい香りだね」と言ってくれます。感謝しています。

開塾時、子供達に教えるという点ではほとんど抵抗なく、自分のイメージを持って始めることができました。それは、私の学生時代の小学6年間と中学・高校6年間、そして開塾前の「東京書芸学園」で学んだ2年間と、私の心に残るたくさんの先生方の教えがあり、年齢に応じた教え方が私の中である程度まとまっていたからです。

心がけていること

私が子供達のお稽古で心がけていることは、それぞれのペースでたくさん褒められながら楽しく続けられること。そして、何より一人ひとりの手を持ち、私の発する言葉のリズムと手の感覚で学んでもらうことを一番に励んでいます。

 State of the guidance

State of the classroom

子供達が好きなこと

子供達が好きなことの一つは、墨を磨ること。多くの子供達は月の初め1回だけ取り入れている墨磨りを楽しんでいます。

学校で体験できないことを塾で

学校ではなかなか機会のないことなので、本物に触れながら、心静かにお習字の世界に入ってほしい…という思いで行っています。

しかし、何とも思い届かず元気に磨り過ぎて、手も道具も真っ黒さんが少なくなく…私の手までも真っ黒になってしまいますが、そんな子供達ほど墨を磨りたがります。遊んでいるのかな?それでもいいと思っています。

筆心の楽しみ方

また、「筆心」の月例コンクール欄から自分の名前を探すことが皆好きで楽しみにしていす。

こちらで一人ひとり、低学年は級を書いた付箋を掲載ページに挟み、本人の名前と賞に蛍光ペンで印をつけておきます。高学年は、印なしで自分で名前を探します。金賞、銀賞…それぞれ目を輝かせて自分の名前を探します。

ワークショップで自由な楽しみ方を提案

そしてもう一つ、夏休みに行っているワークショップ。

自分で書きたい文字を決め、高学年や中学生は行書や草書など、低学年は楷書で練習し、好きな色紙を選んで清書します。
名前の下には私の(?)雅印を押し、その後はカラフルな和紙を折ったり切ったりして貼りつけ、ちょっと特別な色鉛筆で装飾したりして思い思いのアート作品を作ります。この時ばかりはみんなでワイワイお喋りをしながら自由に行っていいことになっていて、とても楽しそうです。

Fun workshop

子供達がお習字を始めて変わったこと

子供達が変わったことといえば、多かれ少なかれ「文字への意識」でしょうか。

自己流から美文字への意識

特に高学年から入塾した生徒が多いため、その変化がよく分かります。

自己流が身についてしまっているものの、自分の意思で始めたお習字、綺麗に書こうという気持ちを日常的に持ってくれるようになったと感じます。特に硬筆の時には、繰り返しこう伝えます。

意識を芽生えさせることが大切だと考えます

「自分だけが見るメモはミミズの字でもいいけど、人に伝えるもの、後に残すもの、飾るものは、早くても丁寧に書こうね!特に平仮名が大事!学校でもお家でも意識して!」と。

いくらお稽古に通っても、意識なしには日常的な上達は期待できません。
毛筆と硬筆のお稽古の相乗効果を感じている今日この頃ですが、お母さん方からも「先生からノートが綺麗だと褒められました。」「早く書いても綺麗に書けるようになって嬉しいです。」など、私にとって何よりのお言葉をたくさん頂けるようになりました。

お稽古を通して心に残る体験をしてほしい

又、何か自信をつけさせたいという思いでお習字を始めさせる方もいらっしゃいますが、勧めで始めたお習字が楽しみに変わっていくタイプの子供達は、願い通り少しずつ「自信」がついていると感じます。

そして自信といえば、私が行っていること、優秀作品で掲載された当教室の子供達の写真ページ一つひとつに付箋をつけ、みんなに見てもらうようにしています。
その子の自信に繋がり、そして自分も載りたい!!思って続けてほしいからです。

これから、ますますパソコンの世の中になっていくからこそ輝く手書きの良さを伝え、塾名「伸美」のごとく美しく伸びるよう願いながら、そして国際社会へと進む中、「日本文化」の一つとしての書道が子供達の何かのきっかけとなることを願いながら、これからも子供達と一緒に楽しく励んで参ります。

葉音書道教室トップ画像

葉音書道教室

大阪府大阪市「葉音書道教室」
塾長:古西行代(雅号:葉音) 2012年2月開塾

書道をはじめたきっかけ

大阪校に通学しながら大阪市内の自宅で教室をしている古西葉音(こにし はおん)と申します。

当初は小中学生の9年間習っていた習字をまた習いたいという気持ちと、今後資格として何かの役に立てばいいかなという思いから書道師範講座を受講し正師範免許を取得しました。

塾をはじめたきっかけ

正師範免許を取得後も書くことが楽しく筆心の月例コンクールや展覧会に出品したりして過ごしていたある日、長男のお友達のお母さんから『教室はされないんですか?』とお話をいただきました。

不安だらけで凄く悩みましたが、子供へ教えることで基本的なことをもう一度見直すチャンスにもなるし、自宅で少人数なら自分にも出来るかなと思い開塾することにしました。

最初の1ヶ月は生徒さんと1対1。不慣れな私、お互い緊張の1時間でした(笑) が、その時間が私にゆっくりと筆心を使っての指導方法や時間の使い方を学ばせてくれました。
その後はご紹介によって1人が4人、4人が6人と少しずつ生徒さんを増やしていく事が出来ました。

 

写真1-学習の様子
学習の様子その1
写真2-1 学習の様子
学習の様子その2
写真2-2 集中して書きます
集中して書きます
写真2-3 硬筆も丁寧に
硬筆も丁寧に

 

塾運営の工夫

うちの教室は定員4人を1時間入れ替えで行っています。毎回少人数でワイワイ。

息抜きと集中のメリハリ

個別指導に近い状態で1時間ずっと集中し書き続けるのは子供達もしんどいはず。
準備中に学校での出来事を聞いたり合間に冗談を言ったりして時々気を抜く時間も作っています。

気を抜いた後はしっかり書いてもらっています。
集中し綺麗な文字を書けるようになって欲しいのは勿論ですが何より書くことが好きになって欲しいと思っています。

ときどき思い出して書いてもらう

お手本どおりの綺麗な文字が書けた時、苦手な右払いが上手く出来た時、筆心に自分の作品が載った時などは本当に嬉しそうな笑顔を見せてくれる子供達です。

普段の学校生活の中でもここと同じような字を書いて欲しいですがそれはなかなか難しい様子。
時々でいいので私に言われたことを思い出しながらノートを書いて欲しいと伝えています。

ゆっくりと落ち着いて、字の形やバランスを気にしながら整った文字を書いて欲しいです。教室に通えなくなってからも習っていて良かった、久し振りに筆が持ちたいな、綺麗な字を見ると書けると気持ちいい、などこれからも自分の字に関心を持ち続けて欲しいと願っています。

わたしの目標

冒頭にも述べましたが私は現在東京書芸学園大阪校に通っています。まだまだ未熟な私です。

様々なジャンルにチャレンジ

正師範取得後も月に1回ずつですが古典臨書とかな書道を受講しています。
古典臨書は師範講座でゆっくり学べなかった古典の筆使いを全臨して学ぶことが出来たり、一緒に受講している師範取得者の皆さんの作品を見せていただいたりして刺激を受けています。

かな書道は多少苦手意識があり、漢字と全く違う筆使いに試行錯誤しながら勉強しています。

知れば知るほど増すやりがい

元々は自分自身が楽しみたかった書道。書けば書くほど、知れば知るほど書道の難しさがわかってきますが、やっぱり楽しくて筆を持つと気分がいい。

子供達に教えながらもっともっと自分自身の力も付け今後も展覧会などに出品していきたいと思っています。いつもご理解ご協力をしてくださる保護者の皆様に感謝し、沢山の力と笑顔をくれる子供達と一緒にこれからも『書』を楽しみ続けていきたいと思います。

 

学習中の臨書作品
学習中の臨書作品
Stroke intimacy

西瑞江書道教室

東京都江戸川区「西瑞江書道教室」
塾長:東儀計子 2015年2月開塾

きっかけは娘の存在

東京書芸学園に通学するきっかけは、娘の存在でした。小学生の娘は左利きそして、私自身も左利きで、小学校1年生から、自宅近くの書道教室に通っていました。中学まで通い続け、高校では、学校で書道クラスに在籍、書を楽しんでいました。

書道教室では、やさしいお母さんのような先生に学び、書の楽しさ、集中する無の時間を子供ながらに気持ちよいと感じていたことを覚えています。

チャンスをもらった書道の経験

高校時代の先生はとても厳しく、遅刻や忘れ物をすると、教室に入れてもらえず、もちろん私語厳禁。
教室は墨の匂いと、ピンと張り詰めた空気感があり、それがまた集中を高めていました。高校では都の展覧会に出品する機会も頂きました。

娘にも右手で書道をさせたい、娘に書の楽しさを教えてあげたいとの想いから、ならば自分もしっかりと習いなおそうと一念発起し、東京書芸学園の門を叩いたのでした。

師範免許取得で開塾、はじめは書初から

書道師範の免許をとり、娘のお友達にお声かけし、思い切って、学校書初め大会の宿題のお手伝いを始めました。

子供達も一生懸命な眼差しや、笑顔、上手くなりたい集中する姿、おもうように書けずに、涙する顔に、昔の自分を重ねて、子供達と一緒に学び、自分も成長したいと思い、開塾いたしました。

今年2年目、まだまだ未熟者ですが、日々精進して、地域の皆様に支えられ、小さな生徒さんに囲まれていることに、心から感謝しております。

Practice of character Penmanship

時には自由に

夏休みの自由作品では、普段の課題から離れて、楽しく作品をつくりました。
自分の書きたい言葉を考え、うちわに和紙を飾りつけして、子供たちが素敵なデザインを考える真剣な眼差しに感動し、指導者としても大いに刺激を受けました。作品には個性が溢れ、お稽古では、なかなかゆっくり会話が出来ませんが、ワイワイと工作しながらに子供達との絆を深められることも大切な時間でした。

Picture to fan

今年も楽しい企画を考えています。子供達にも、字典に当たることや、墨をすることを経験して、書を五感で感じてもらおうと思います。

書くことの楽しさ

今年は書初め大会にむけ、子供達に年賀状をプレゼントしました。これは、書画クラスの鈴木景翔先生の1日講座でご指導頂きました。

『自分らしく。たのしく書けばよいのよ』と先生はおっしゃり、終始笑顔で、ご指導くださいました。
とても楽しい、また学びたいと思うあっという間の時間でした。

願いを込めて

子供達に、一筆入魂とメッセージを添えて・・・・

Stroke intimacy

これは、いままでお稽古してきたことを自信をもって本番に臨んでほしいと願い渡しました。

字に乗る気持ち

上手く書くことより、自分らしく、楽しく、元気よく書いてほしい。字には気持ちも一緒に乗っていくからねと・・・・

書初め大会の後に、『先生、頑張ってかいたよ。楽しくかけたよ。』と笑顔の子。
『緊張しすぎて、うまく書けなかった』と、がっかりする子。
そんな経験が子供達を成長させていると実感します。頑張ることこそが大事で、結果はおまけのようなもの・・・

『継続は力なり』との言葉がありますが、教室では『継続こそ力なり』を合言葉に、コツコツの積み重ねを大切にしています。

今後の展望

東京書芸学園では、特習クラスで吉田佳石先生にご指導頂きました。

学園で学んだことが生きています

始まる前に毎回、先生からのお題を書く時間がありました。

『書けなくも気にしないで、これから覚えればよい』『お手本なしで書くのは大切な勉強である』日付や曜日といったものから、かなの字源、干支等、入学当初は、知識もなく、干支まともに書けない自分が情けなくなるほどでしたが、『毎週続けるうちに、少しずつ覚えられるようになるからと・・・』少しずつ、知識も覚え、字が書けるようになり、あの時間の大切さを、今ではとても感謝しています。

作品をつくる楽しさ

自身が、作品製作を指導して頂いた時にも、『必ず字典に当たりなさい』と呪文のように唱えられ、作品は書くまでの準備がいかに大切であるかを1から丁寧に教えて頂きました。

展覧会に作品を書いていたときも、臨書作品でしたが、字典に当たる大切さ、作品に仕上げるまでには、文房四宝についても、ご指導頂き、悩みながらの苦しい作品制作でしたが、とても勉強になりました。
チャレンジしなくてはわからないこと、大人になっても、生涯学び続ける大切さを改めて、実感できました。

書の知識の大切さ

作品制作を通し自分の、文房四宝の知識のなさ、なにをどう選択したらよいのか、自分に必要なものは何かを考えあぐねていたときに、長野竹軒先生の『はじめの一歩』講座か開講され、飛びつきました。

普段聞けない、道具の基礎から表現まで、貴重なお話を伺い、普段のお稽古に役立つ知識から、作品作り上げる過程まで奥深いお話ばかりでした。毎回、特別講師との対談も、勉強になり、硯の回では、講座後そのまま宝研堂に足を運び、用品を購入したり、各産地の硯を触らせて頂いたりしました。

竹軒先生の淡墨のお話は、墨を混ぜて試墨するなど、まるで科学者のようで、文房四宝を愛してやまない情熱を感じ、とても感動しました。
また、展覧会の解説では書法の話しを聞き、『用筆法・結精法・布置法』お話から、『3頭追うものは1頭も得ず』との言葉が胸に刺さり、今では、お稽古の際に役立てています。

字を書く楽しさを伝えていきたい

現在は、パソコンや携帯の時代でもあり、学校の授業でも書写の時間が少なくなっていて、字を書く機会が減ってしまっています。

それでも字は一生ものだと思います。書を通じて、字を書くことの楽しさ、無の時間、単純に名前が上手く書ける喜びを子供達に伝えていく為にも、私自身が学び、それを子供達に還元し、微力でも地域に役立てるように楽しく頑張っていきたいと、思います。どうぞ宜しくお願いします。

六車書道教室トップ

六車(むぐるま)教室

香川県さぬき市「六車(むぐるま)教室」
塾長:六車紀子 2014年12月開塾

自己紹介

私は香川県で教室をしている六車紀子と申します。

幼稚園の頃に硬筆、その後習字を始めて20歳頃まで教室に通っていました。教室を辞めた後は自分で通信講座を続けて、平成16年に普通科師範の資格を取得しました。

それからしばらく『書』から離れて過ごしていましたが、3年程前に知人から賞状の名前を書いてくれないかと頼まれた事をきっかけに、再び『書』を始める事になりました。時間を見つけて書いていましたが、通信講座が途中で止まっていた事を思い出し、やるからには最後まで、正師範取得を目指してみようと思い立ち、助言をいただこうと恩師に連絡したのが転機となりました。

恩師の言葉

「普通科師範の資格を持っているなら、教室を開いたらいいよ。大丈夫、出来るよ!」と背中を押していただきました。
ブランクもありましたし、自分が教室を開くなんて深く考えた事もなかったので、本当に出来るのかどうか悩みましたが元々子どもと関わる仕事がしたかった事もあり『書』を通して子どもと向き合っていけるのではと考え、思い切って平成26年12月、六車教室として開塾しました。

自宅の一室を利用し、当初は我が子2名だった生徒も少しずつ増え、今では10名となりました。
分からない事は恩師に教えていただきながら、小さい教室ではありますが自分が教室を開く事が出来た喜びと楽しさ、そして責任を感じながら、週3回の教室に望んでいます。

学習風景 習字
学習風景 習字
学習風景 硬筆
学習風景 硬筆

指導する楽しさ

前述した通り、私が再び書く事を始めたきっかけは賞状の名前書きでした。
何年かぶりに嗅いだ墨の香り、筆やペンを持ち、紙に向かった時のピッと張り詰める空気と緊張感。やっぱり好きだなと改めて感じたのです。

文字を書く楽しさを伝えたい

字を書くという事は、私達にとって切っても切れない事であり、であるならば、少しでも綺麗に書ければ日々の生活の中で楽しいと思える時間が増えるのではないかと思います。

開塾した時、とにかく字を書く事が好きになる、そんな教室にしたいと考えていました。
生徒が過ごす1時間を、書くって楽しいと思える時間にしたい。その為に自分がどう指導していけば良いのか。いつも気をつけているのは、必ず褒めるという事です。

上手く書けた時、言われた事に気をつけて書けた時などしっかり褒めて、やる気の向上に繋がるようにしています。

その先も楽しんでもらえるために

また、なるべく個々の性格にあった指導が出来るように時には雑談を交えてその中に出てきた言葉を書かせてみるなど、楽しい時間も作るようにしています。

私1人が前に向かって進むのではなく、生徒達と一緒に前に進む教室を作っていきたいと考えています。
「私、大学生になっても来るよ!」
「学校で字が綺麗って褒められたんで!」
「先生がハナマルつけてくれた!」
子ども達のそんな声を聞くと、現在の状況に満足したり、1つの指導法にこだわりすぎる事がないように、これからもまず私自身が楽しんで教室に望んで行きたいと思います。

塾生の毛筆作品
塾生の毛筆作品
塾生の硬筆作品
塾生の硬筆作品

指導方針

生徒に字を教えるに当たって心がけている事は、学年に応じた表現で伝える事と、学校で習う国語や書写の進み具合・字の形に沿って教える事です。

分からない時には基本講座のテキストで確認してから指導します。お手本を見て書くだけでなく、字の形がどうなっているか、角度や硬筆なら鉛筆、毛筆なら筆の動きをなるべく言葉で伝えるようにしています。

なるべく年齢に合わせた指導を

幼児や低学年の生徒には、鉛筆の正しい持ち方での運筆練習に迷路遊びを取り入れたりもしています。

部屋の関係で1回の定員が4名までという少人数での教室ですので、アットホームな空気が利点でもあり難点でもあると考えています。
リラックスしすぎて、書く事に集中出来ない時には少し休憩を挟んだり、いつも利用しているノートではなく真っ白の紙に自由に書かせてみるなど、書く事に対して気持ちが前向きになるように工夫してみます。

苦労のご褒美は嬉しそうな生徒の顔

逆に、全員に目が行き届く距離をうまく活用できるように、生徒にはいつでも質問して良いよ、と話をしています。自分の指導法が正しいのか、試行錯誤を繰り返しながら取り組んでいます。

教室を始めて、人に字を教える事の難しさと自分の知識や力量の無さに悩む時もありますが、生徒の一生懸命に書く姿、褒めてあげた時の嬉しそうな顔、何より字が上手になりたいという気持ちが伝わってきた時、教室を開いて良かったと思います。

入江書道塾の風景

入江書道教室

埼玉県さいたま市「入江書道教室」
塾長:入江 絵理(号:雲花)2010年5月開塾

東京書道教育会で師範免許を取得され書道塾をなさっている入江先生から塾の楽しさについてご紹介頂きます。

1.自己紹介

私、入江雲花が埼玉県にある自宅の一室を「入江書道教室」として開塾したのは2010年、28歳の春でした。
この年は神奈川県から引っ越しをしたばかりで知り合いはおろか、土地勘すらありませんでした。そこから小さな出会いを重ね、6年の月日が流れ、当塾は小さいながらも可愛い生徒さん達に、ぐるりと一まわり囲んでもらえる程の教室になりました。

師匠から教わった指導の心

実は私も幼少時代からの東京書道教育会の生徒。私は野田桑花先生の書道教室で20年以上の時をかけ、優しく、ゆっくりと育てられた生徒なのです。
見知らぬ地であった埼玉で書道教室を開く不安云々よりも、野田先生から20年かけて授かった書道への気持ちと、かつての教室での様々な思い出、そこで生まれた沢山の笑顔を、私も塾長として繋いでいきたい!という気持ちひとつでやってきました。

でも孤独さなどを感じなかったのは東京書道教育会の先生方、いつも親切な事務の皆さん、元気に通ってきてくれる生徒さん、それを支えてくださる保護者様、ご近所の皆さん。私の家族。多くの方々に支えて頂いたお陰です。ありがとうございます。

単純素直な話、文字がきれいに書けるって嬉しいことだと思います。私が筆を持つことで、皆さんに笑顔をつくれたら幸いです。そのための努力を惜しまず、私も勉強し続けていきます。私は塾長であり生徒です。生徒さん同様、毎月コンクールへも出品しています。一緒に頑張りましょう。よろしくお願い致します。

入江書道塾の亀
入江書道塾の亀さん

2.塾に来て生徒が楽しみにしていること

「楽しみ」と申しましても、当塾には娯楽や菓子等はありません。私はあくまで書道に関わること、考えて学ぶこと、知ることでの楽しみを伝えていければと考えています。

道具の大切さ

まず私に出来る範囲のささやかなものではありますが、書道道具はこちらで幾つか種類を揃えました。筆など特別なものではありませんが、手入れをよくした筆を用意し、生徒さん達にはその柔らかさ、つきましては道具の手入れの大切さを感じてもらっています。

また昔、本部の花田先生が競書のコラムで「今の子供たちは墨を磨る機会をなかなか持てずにいる」と書かれた話を読みまして、それならば!と、特大の硯を教卓にドンと置きました。

特大の硯
特大の硯

入朱添削の順番待ちの間に、磨った墨で試し書きをする生徒さんたちは本当に楽しそうです。

小さな書家さん

それから書道の稽古をはじめて最初の年の暮れを迎える生徒さんに、私の手作りの雅印をプレゼントしています。

手製の雅印
手製の雅印
雅印を箱に入れたところ
雅印を箱に入れたところ

そしてそれを使って色紙作品を皆で作り、玄関先に小さな小品展示を毎年しています。

玄関展示の様子
玄関展示の様子

大人の作品作り同様、生徒さん達一人ひとりに書体辞典をひいて貰い書き上げた作品は、お正月の雰囲気に相まって近所の皆様にもお楽しみ頂いております。
何より生徒さんたちが、お父さんやお母さんに胸を張って自分の作品を紹介している様子が拝見出来ることは嬉しい限りです。
ここでは生徒さん一人一人が小さな書道家になって書技の向上を楽しみながら書いてくれたら…と思っています。

 

3.心がけていること

私の師である野田先生は、年度初めの春を迎える頃によくこう話していました。
「今、難しいと感じるところも、一年後にへっちゃらだと思えるようになっていれば良いのよ!」と。

器用でない私からすれば、これほど安心できる言葉はなく、現在私の塾での心がけとしています。そして私はこの言葉を生徒さんに伝えるとき、さらにこう付け加えています。

教える心

「君達が“やっちゃったなぁ”と思うことは、大抵、私もしているからね。安心して、まずは作品を持っておいで。」と。一見、甘いような言葉でも、ありがたいことに当塾の生徒さんたちは安心して、真面目に力強く書いてきてくれます。

開塾当初に入塾してくれた生徒さんは、小学校低学年から高学年に成長しています。筆を持つことすら初めてであった子が、今では堂々たる作品を書いてくれます。その姿を傍らで見守り続けることが出来た事、何にもかえがたい喜びです。

子どもたちの笑顔と感謝

生徒さんたちが「ここが上手に書けたよ。」などと嬉しそうに話しかけてくれる度に、私は私の子供時代を思い出し、思わず目を細めてしまいます。

野田先生もこんな感じであったかな?と。先生の塾は35周年を迎えるそうで、そのことに対し「感謝」と述べられていました。
私も筆を持つことで子供たちの笑顔と成長を見守れる日々に感謝しながら、塾長として今後も努めてまいります。よろしくお願い致します。