書道談話/竹中翠華先生

書道談話 東京書道教育会 東京書芸学園講師 竹中翠華先生

東京書道教育会では通信講座の添削指導や、通学部「東京書芸学園」の授業を指導力豊富な先生方にご担当いただいております。
各分野の先生方にお伺いした書道に関するお話を第5週目に掲載いたします。今回は、東京書芸学園 大阪校の「書道クラス」でご指導いただいております竹中翠華先生です。

座右の銘『一期一会』の由来

『一期一会』の語源は「茶会に臨む際はその機会を一生に一度のものと心得て、主客共に互いに誠意を尽くせ」といった茶会の心得から来ているとされています。

日々誠意を尽くして

この言葉を元に日頃出会う方々にはつねに誠意を尽くした行動をとるように心がけています。再び会う事がないかもしれないその方のお役に立つことで少しでも喜んでもらえれば良いなと思います。

ただそれだけの気持ちに過ぎないのですが、この誠意が度々巡り巡って自分の幸せにつながることがあります。
また自分自身でなくとも自分に縁ある人達(家族、友人、知人)の幸せにつながることさえあります。これには私自身の幸せ以上の喜びを感じます。

ちょっと嬉しい出来事

こんな事がありました。たまたま駅で見かけた4、5人の外国人グループが大きなトランクを持ってなにやら困っているところに遭遇しました。英語に全く自信は無いのですが、簡単な単語と身振りでお役に立てる事が出来ました。
その数週間後、離れて暮らしている娘から、「今日は道に迷ったけれど知らない方に目的地まで案内してもらったよ」という話を聞き驚きました。

これは単なる偶然かもしれませんが、このような経験は度々あります。

小さな事でも誠心誠意行う、そういう思いを込めてこの一期一会を座右の銘に挙げています。
授業においても多くの教室の中からお越しいただいた生徒さんとの時間を大切にし、少しでも書道の魅力をお伝えできるよう誠意をつくしていきたいと思います。

書道を始めたきっかけ

書道の楽しい記憶

小学生に上がる頃、母の勧めで現在学園講師でもある田村翠園先生の主催する書道塾に通い始めたのがきっかけです。
小学生の頃は学校の教室や廊下に作品を展示してもらえるのが嬉しくて、書道の時間が大好きでした。

また「はとぶえ」という冊子に掲載していただいた作品を、小さな木のついた桐板にコピーしたものを記念品として戴いた事はとても嬉しく、今でもよく覚えています。

中学校に入学後、田村先生から東京書道教育会の通信講座のペン字と書道の両コースを紹介いただき、入会しました。
その後、高校時代はバスケットボールにも明け暮れましたが、田村先生の熱心なご指導の下、教室の課題に加えて上記の通信講座をこなす事ができました。

人生の節目に改めて考えてみる

その後、結婚、出産、子育てと生活環境がすっかり変わり、通信講座も中断、先生の書道塾に通う事もままならないようになりました。
ふと、「私の人生は何?自分の時間は?」と自問して出た答えが、子供がお腹にいるときも、子育てに追われているときも、好きで打ち込める事が書道であることに気づきました。

改めて書道を好きと思えるようにご指導していただいた、田村先生に深謝し、人生の節目において幾度となく中断してきた通信講座を復活し、好きな書道で自分の時間を創ろうと決めました。

そしてその頃から、それまでにも増して書道に積極的に取り組むようになりました。
とはいえ突き詰めるほどに”書道”の奥深さを痛感する日々です。今後益々精進努力してゆきたいと思います。

作品づくりで心がけていること

竹中先生作品写真2

題材探しのコツ

題材探しについては、日頃よりアンテナを廻らすように心がけています。街中での看板、ポスター、キャッチコピー、新聞、雑誌など。素敵な言葉に出会えた時はメモをとります。そのため出先にはメモ帳を携帯しています。
最近では携帯電話の写真機能が便利になりました。

また先人達の詩や文章を引用するため、古本屋や図書館を利用する事もあります。作品の展示会場、季節、作品の大きさ、目的により題材が決まります。
次にどのような作品に仕上げるかを想像し紙・筆・墨を選び、草稿作りをします。その際、参考資料として辞典や字典で確認し、存在すれば原本を閲覧します。これは、思い込みによって誤字、誤記、脱字をしないためです。

鑑賞する力を養いたい

そしてここからが悪戦苦闘の始まりです。作品に起承転結のような自然な流れが表現できているか?書いては掲げ、掲げては書いての繰り返しです。行き詰まった時は古典に戻り気分転換。
そうこうしている間に締め切り日が提出日になってしまうこともしばしばです。最近特に心がけている事は、鑑賞眼を高める事と書線を磨く事、そして人としての成長です。

鑑賞眼を高める事としては展覧会や美術館など、できる限り色々な物を見聞きするようにし、書線を磨く事としては古典の臨書を欠かさないようにしています。
また自分自身の成長が表現の幅を広げることにつながると考えています。

まだまだ未熟ではございますが、魅力を感じてもらえる作品づくりを目指していきたいと思います。

最後に、竹中先生に通信講座「書道師範講座初級」の学習内容12課題について、各課題のポイントを列記していただきました。

課題内容 各課題のポイント
秋月 基本点画の左払いの違いを学びます。秋の一画目はほぼ横に、四画目はあまり曲げず、八画目は中間点までは垂直に、そこから曲げていきます。月の一画目はわずかにそらせてに払います。

ボールペン・バイオリン・サッカー カタカナの筆使いは漢字の楷書の部分を学ぶ事につながります。止め、はね、払い、折れの違いを大切に、特に『ボ』の二画目ははね、三画目、四画目は止めます。

日新 『日』は小さめに、『新』は日よりやや大きめに書きます。氏名は左の余白の中央あたりに書き、半紙に2文字をバランスよく収める事を学びます。

遊雲 しんにょうの上に”方”、”子”の部分が来るので縦長に書き、しんにょうの一画目は大きく打ち、二画目は一画目よりやや左から書きます。あめかんむりは三画目の横画と四画目の縦画の交わる位置に気をつけて右側の横画の長さが左より長く見えるように横画を引き、中の点の大きさ、位置に気をつけます。

名花 『名』は「夕」の一画目から三画目まで連続、「口」の二画目から四画目までの連続した筆使いを学びます。『花』は一般的な行書体で二画目から五画目までの線の方向また筆圧のかけ方などを学んでください。

詩情 「ごんべん」「りっしんべん」の行書体を学びます。「ごんべん」の行書体は三画目からかなり省略された形になっていますが「さんずい」を書くつもりで書くと良いです。

淡如水 半紙に3文字を収める字配りを学びます。全体を体裁よく収めるため、一字一字墨をつけず、墨をつけたならイッキに落款まで書き上げても良い練習になります。どうしても墨が足りない場合は「水」で少し足して落款まで書くと良いです。

おめでとう 行書風ひらがなの大小の違いを学びます。ここでは「め」、「と」を小さく書き、「お」「で」「う」は大きめに書きます。また、「お」「で」の点の位置に気をつけて書いてみましょう。

思いやり 「思」の「田」は縦画をすぼませ、下部を出します。「心」の三画目の点は中心に打つと安定します。「い」は横長に、「り」は縦長に書き、漢字と調和させます。

清く聖なるものしろがねの月の光地をめぐむ 漢字が行書の場合、ひらがなも行書風に書き、落款も含めて調和よく書きます。ひらがなを連綿で書く場合、「が」、「ぐ」の濁点は「か」「く」を先に書き、下の文字を書いてから戻って濁点を打つと流れが出ます。

「北海道・・・三重」(行書) 28の都道府県を半紙に体裁よく収めます。都道府県が2文字、3文字であっても統一感があり、都道府県と都道府県の間が詰まりすぎぬように注意してください。

「一筆申し上げます・・・かしこ」 字形を整えて書くことはもちろん大切ですが、行の流れの美しさを学びましょう。そのために、ある程度の速度も大切にして、手を休めずに手本を見ながら次を書き続けるような練習もしてみましょう。

竹中先生、ありがとうございました

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