筆 は何でできている?

1. 筆 つくり

皆さんは筆の材料に関心を持ったことがありますか。筆毛は様々で山羊・イタチ・狸・馬などが主に使用されています。その性質によりそれぞれ書き味が違います。

先ず硬さです

柔らかな柔毛筆、硬い剛毛筆、その両方を混ぜた兼剛筆があります。

次にその性質の違いです

例えば馬は堅いが弾力があり、穂もまとまり易い。イタチは馬よりは柔らかく穂先も利きます。馬やイタチは書きやすさの面では中々良いが減りの早いのが難点でしょうか。

イタチは原材料が中国産ですが、北方系と南方系では違いがあります。名称も分けていて北方系をコリンスキー、南方系をウィーゼルと呼んでいます。多分、寒暖の差で性質が違ってくるのですね。

筆作りの工程

「書は線の芸術」と言われる位ですから筆は大切ですね。筆は幾つもの工程を経て作られています。簡単にご紹介すると、

  • 筆毛の選別。
  • 筆毛を伸ばす作業。
  • 長さの違う毛を混ぜて穂先の形を整える。
  • 根元を糸で縛り抜けないようにする。
  • 最後に、その根元に糊を付けて軸に差し込んで日干します。

ざっと挙げてもかなりの手間がかかる作業です。

筆の先についているキャップ

それから、筆を購入すると、キャップが付いています。これは保護用です。
筆巻きを使用してください。
キャップを使用していると筆毛を傷めたり、毛が抜けたりカビの原因にもなります。大切に使いましょう。

2.漢字と仮名用

書の作品は漢字作品、仮名作品、漢字仮名交じり作品等があげられます。

筆の号数

筆は「何号を使用していますか」なんて耳にしたことがありますか。筆はその軸(筆管)の太さにより号数が決められています。一般的に4号、5号が割と使用されている様です。太さでいうと4号が1センチ~1.2センチ、5号が0.9~1cm位です。
また、筆毛の長さによって、長い筆毛から長鋒、中鋒、短鋒と呼ばれています。

一方、仮名を書く時には細筆を使用します。
イタチやウサギの毛を中に羊毛や狸の毛を混ぜた筆、イタチだけで作った面相筆などがあります。
仮名用の筆は毛が短いので穂先を使って書くと良いです。仮名は古典の味わいが様々で、その違いから古筆の数位、筆の種類が市販されています。試してみると良いです。
筆はただ見ているだけでは分かりません。試筆させていただけるお店もあります。

いろいろな筆の種類

  • かえで 大中小(仮名用筆) 毛材:鼬
    かえで大
    かえで中
    かえで小
  • 童心 中小(仮名用筆)   毛材:狸、羊
    童心 小
    童心 中
  • 長鋒光風<大>(漢字用筆) 穂先:6.2cm
    長鋒光風<大>
  • 筆心中鋒(漢字用筆)    穂先:5.0cm
  • 筆心中短鋒(漢字用筆)   穂先:4.5cm
  • 筆心

同じ銘柄でも違いがある

筆は動物の毛を使用して作ることもあり、同じ銘柄でも違いがあります。何本かまとめ買いすると、良い筆と巡りあえますよ。

筆の手入れ

筆の手入れですが、太筆は水道水を軸にあてて水を流し、指で挟んで墨を洗い流します。
一方、小筆(細筆)は濡らした紙で、墨をぬぐう程度で良いと思います。洗ってしまうとばさばさになってしまします。
呉昌碩(ごしょうせき)は、常に筆を使用しているので洗う必要がなかったと伝えられています。

3.こんな筆もある

筆の毛質のことで、馬、山羊、イタチ、鹿などが原材料で多くの筆が使われていると書きました。
弘法大師空海の「狸毛筆奉献帖」の中に、唐で筆の製法を学び、嵯峨天皇に献上していたことが分かります。「弘法筆を選ばず」なんてことは決してありません。かなり拘っていたようで、この言葉は、どんな筆でも書きこなせたという意味でしょう。

珍しい筆では孔雀、鶏毛、リス、わら、竹、白鳥、むじな、牛耳などでも作られています。

珍しい素材の筆

  • 1.鼬筆
    腰がしっかりして弾力は強い。硬い筆。
    鼬毛筆
  • 2.マングース筆
    指で弾くとピンピンする感じ。
    マングース筆
  • 3.牛耳筆
    マングースより柔らかい。
    牛耳筆
  • 4.胎毛筆
    新生児の毛筆から筆を製作。先が細く形状が尖っているので筆に作れる。
    成人の毛髪は先がカットされて先が細くなっていないので筆にできない。
    胎毛筆
  • 5.木筆
    一本の木の先をつぶして筆状にしたもの。
    木筆

鶏毛やリスは実際に使わせていただいたことがあります。決して書き心地が良く無かったことを覚えています。
孔雀筆は見たことがあります。あの孔雀そのものの筆です。

書道パフォーマンスでよく見る大きな筆

最近、マスコミで書のパフォーマンスをとりあげています。あの筆は大量の毛を必要とするので高価です。
筆の重さも相当重く、知り合いの書家は、筆だけで十五キロ。筆が墨を含むと二十キロ位で書いています。この筆で大作を書くのは容易ではありません。

名作と筆

鼠(そ)鬚(しゅ)筆(ひつ)という珍しい筆があります。王羲之が蘭亭序を書いたと伝えられている筆です。字のとおり鼠の鬚ですね。毛質は硬く、まとまりが悪いといわれています。それであの名作の蘭亭序が書けた訳ですから、やはり、腕もいいのですね。

最後に、筆の産地ですが、広島の熊野、愛知の豊橋が有名です。是非足を運び、様々な筆に触れてみたいですね。

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