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ゆかいな筆順4

ゆかいな筆順4

筆順はなぜ大切か

筆順を無視しても文字は書けます。また、出来上がった文字がその形になっていれば読めます。では、どうして決められた筆順で書かなければいけないのでしょう。

家を建てるように構成される字

皆さんは、家を建てる時、どのように立てているかご存じでしょうか。
家を建てる時はまず、基礎(きそ)を作り、その上に土台(どだい)を乗せ、次に柱(はしら)を立て、桁(けた)を乗せ、梁(はり)を乗せて、束(つか)を立て、母屋(もや)を乗せるように、順序よくしないと家は建ちません。

このように、家を建てるのと同じように、文字を書く時も決められた順序で書くと、字形が整い、無理なく自然に美しく書けます。

漢字だけでない筆順を守る理由

筆順は長い歴史の中でだんだん固まって来た順序です。決められた順序で書くと自然と整った美しい字の形に書けます。
又、筆順は漢字だけではなく、ひらがな、カタカナローマ字にもあります。
では、具体的に述べてみましょう。

(一)文字の形が整う。
決められた筆順で書けば整った文字になる。
(二)無駄なく書ける
筆の運びに無理がなく、自然なので無駄がありません。
(三)字形を正しく覚える。
点画や部分の関係を注意して、正しい字が書けます。
(四)読み間違いがない。
特に行書になると決められた筆順で書かないと読み間違いになりやすい。

 

筆順の例

 

一筆(ひとふで)書(が)きを何文字知っていますか?

一筆で書ける文字を考えてみて下さい。
漢字(楷書体)、ひらがな(楷書風)、カタカナ、ローマ字などの中から一筆で書けるもじは何文字ありますか? 指でなぞってみてみましょう。

さて、何文字一筆書きできる字があるでしょうか

上手、下手は関係なく、頭の体操と思って考えて見ましょう。おそらく39字あると思います。

答えは下段に。この他の文字も考えてみて下さい。(行書・草書)、ローマ字の筆記体「スクリプト体」。など。

 

「漢 字」
(6文字あります)
「ひらがな」
(6文字あります)
「カタカナ」
(4文字あります)
「ローマ字」 ※ブロック体「マヌ・スクリプト体」
大文字 (9文字あります)
小文字 (14文字あります)

 

一筆書きの答え

 

活字体と手書き文字の違い

活字体とは、明朝体やゴシック体などのことをいいます。特徴として四角い枠の中にデザインされた文字であるから、その枠から点画がはみ出ないという字形上の制約があります。

そのため多くの文字(漢字)は正方形に近い概形になっています。
また、活字体は、縦画や横画の方向が一定であり、画と画の間も調和よくデザインされています。

読みやすさと書く方向

そのため、縦書きや横書きなど、読みやすくなっているのも特徴です。また書の上では1716年(康熙(こうき)55年)に作られた康熙字典体の形のことを、字典体ともいっています。

手書き文字とは、筆写体といって昔から受け継がれて来た手書き文字のことと思います。活字体と違って字形の特徴や自然な書きぶりで筆順に添って無理なく文字が書けます。

小学校から習っている文字ですので違和感がなく書ける文字と思います。ここで、活字体と手書き文字の違いを文字で表して見ましょう。

 

活字体と手書き文字

 

和硯産地

硯の産地

硯の制作

書道では、墨、紙とならんで硯も大切です。硯は墨を磨るための道具ですが、生産地によって種類が多くあります。中国と日本の代表的な硯を列記します。

唐硯(中国)

唐硯産地
唐硯産地

端渓硯(たんけい)、羅紋硯(らもん)、歙州硯(きゅうしゅう/ぎゅうしゅう)、澄泥硯(ちょうでい)、松花江緑石硯(しょうかこうりょくせき)等

端渓硯
端渓硯
歙州硯
歙州硯
澄泥硯
澄泥硯
松花江緑石硯
松花江緑石硯

和硯(日本)

和硯産地
和硯産地  地図素材提供CraftMAP http://www.craftmap.box-i.net/

赤間硯(あかま)、土佐硯(とさ)、那智黒硯(なちくろ)、雨畑硯(あまはた)、雄勝硯(おがつ)等

雄勝硯
雄勝硯
赤間硯
赤間硯

硯の製作は、ほとんどの硯は石を材料としています。硯ができるまでの加工工程を知っておきましょう。各工程で硯の特徴が生まれてきます。

①まず石を採ります。
②大きさ、厚さ、形を考えて石を切断します。
③川砂と水を混ぜて、石の凸凹を削り滑らかにします。
④縁立て、荒彫り、仕上げ彫りへと進みます。体全体を使って彫り上げます。
⑤砥石、耐水へーパーで丁寧に磨きます。
⑥仕上げは、漆を使って艶を出したり、焼き上げ又は墨を使った墨引きの方法があります。
石材の他に、細かい泥で型を作り焼いて作るもの(澄泥硯)があります。

漢字用とかな用

硯には、鑑賞硯(古硯)と実用硯があります。実用硯は墨が磨れなければなりません。そのために鋒鋩(ほうぼう)を研いで立てることが大切です。この研ぎにより漢字とかな用に分けられます。

漢字に適した硯

①端渓硯は、女性的な艶やかさもあり滑らかで粒子は細かく彫刻に向き、磨墨液が持つ撥墨の範囲が広い。

②澄泥硯は、泥を練って焼いて作る上質な硯で、特に淡墨が美しい。粒子は粗い。

かなに適した硯

歙州硯(きゅうじゅう)は、端渓硯に比べると石質は硬く男性的で、粒子が細かく硬いので、伸びのよい墨液。サイズは小さいものが多い。

②赤間硯も墨が細かく磨れ、伸びやかな墨液で、細筆で続けて書くことに適 している。

漢字、かな用として表現目的に合った硯選びが大切ですが、新端渓硯、羅紋硯等は、比較的安価な硯で普段使いには十分でしょう。

こんな硯もある

中国では、硯は記録のための用具から美の表現としたものへ、そして日本では調度品として伝えられ、江戸期の武家屋敷の遺構からも出土しています。

現在では、実用的な硯には多くの材質のものがあります。自然硯、人工硯、セラミック硯等、種類が豊富です。色や形、目的に合った大きさ、重さ等様々です。学童用として大変軽い硯も出まわっています。

Work of Yoda teacher

書道談話/依田草榮先生

書道談話 東京書道教育会 指導顧問 依田草榮先生

東京書道教育会では通信講座の添削指導や、通学部「東京書芸学園」の授業を指導力豊富な先生方にご担当いただいております。
今回は、各分野の先生方にお伺いした書道に関するお話を第5週目に掲載いたします。

今回は、通信講座「すらすらボールペン字講座」の手本執筆や、通学部の「ボールペン字クラス」でご指導いただいております当会指導顧問の依田草榮先生です。

先生が書道を始めたきっかけ

小学低学年の頃、一番仲の良い友人に誘われて、書道と珠算教室に通うことになりました。特に興味があって始めた訳ではなく、遊びの延長でしたが、大きな字を書くのが楽しく、友人が辞めてからも通い続けたので、きっと性に合っていたのでしょう。ただ当時は、はっきりと『〇×』の結果が出る珠算が面白く、書道より夢中になっていた記憶があります。

父が伯母に宛てたハガキ

中学進学を機に、その後暫らくは学業に専念しておりましたが、ある日、伯母が黄ばんだハガキを持って来てくれました。それは若くして亡くなった私の父が伯母宛に書いたものでした。

懐かしく思うとともに、その文字の素晴らしさに感嘆しました。それは草書を交えた文書で、私には実に達筆に見えたのです。父と過ごした時間は短く思い出も少なかったのですが、このハガキを通して父を身近に感じることが出来ました。
そして、父のような文字を書けるようになりたいと思い、『書道』をまた学ぼう…と決心いたしました。

友人と父へ感謝

以来数十年経た現在は、珠算で培った暗算力はすっかり衰えて役に立たなくなってきましたが、『書道』はまだまだこれからです。学ぶべきことの多さをますます感じております。そして、『書道』を通じて、大勢の方とお会いすることができ、充実した日々を送っております。
筆を持つきっかけになった友人に、そして父に感謝してこれからも精進いたします。

ホームページに掲載されている先生の座右の銘「日々是好日(にちにちこれこうじつ)の由来について教えてください。

東京書芸学園の講師として歩みだして間もない頃、受講生ではありましたが人生においては大先輩の方から、自筆の色紙を頂きました。色紙には『日々是好日』と書かれており、裏には中国唐時代雲門文偃(ぶんえん)禅師の語、意味は「毎日毎日が平和な良い日であること」との添え書きがありました。

その後間もなく、その方は残念ながらご病気でご逝去されました。当時、講師として経験も浅く、不安気にしていた私に、励ましの言葉を遺してくださったように思われ、私の心に残る一語となりました。さらにこの語の深い意味を知り、なお一層心に留まり、日々の指針として座右の銘といたしました。

今を素直に大切に

「毎日が良い日である」のは誰でもが望むところですが、そうはいかないのが世の常。

晴れの日ばかりではなく、雨の日も風の日もあるように、楽しいことばかりでなく、さまざまなことが起こりますが、今日という日は二度と来ないのです。『日々是好日』には、どのような日もかけがえのない一日なので、今を素直に受け止め、「雨も楽しもう、寒さも味わおう」という意味がありました。

今なお、なかなかその境地にはたどり着けませんが、過ぎ去ったことなどにくよくよせずに、今を素直に受け入れて『日々是好日』になるように、私のかけがえのない一日を悔いのないように大切に生きようと思っています。

ペン字作品の魅力を教えてください。

ペン字作品が展示されている書展は珍しく、東京書道教育会・東京書芸学園の特徴の一つかと思います。ペン字作品の魅力は、つけペンによる線の美しさに代表されます。

私自身も常々、足を止めて観てくださるような魅力のある作品を書きたいと、目標にしているのですが、なかなか思うようにいきません。次回は、次回こそは、と思うことしばしばです。しかしその気持ちが上達への一歩と考え、挑戦し続けています。

料紙や表具選びも楽しみの一つ

自らの力不足を補うため、料紙や表具の力も借りようと、題材にあった色・大きさの料紙を探します。逆の場合もあり、気に入った料紙を見つけてから、その紙に合った題材を探すこともあります。
料紙・題材・構成がぴったりと合った時は嬉しく、気持ちよく書くことができるのです。更に表具の助けを得て、見違うほどに変わることが多々あり、書展会場で表具された自分の作品を初めて目の前にする時のドキドキする気持ちも楽しいものです。

持っている力以上に上手く書こうなどと力んで失敗したこともあります。ペン先に集中して無心に書けた時、納得いく作品になります。平常心で今出来ることが表現できれば最高です。

Work of Yoda teacher
つけペンによる依田先生の作品

依田先生に通信講座「すらすらボールペン字講座」の学習内容について、各巻の要点を列記していただきました。

1巻ひらがな編
7つの上達ポイントでひらがなをマスターします。応用として、二字熟語や短いことばを字粒や中心を揃えて書くことや、横書き・縦書きの違いを学びます。
2巻カタカナ編
ひらがなと違うカタカナの特徴を学びます。併せて、数字・アルファべットも学びます。
3巻漢字編
実用的な行書の形を学びます。総ての漢字を学ぶのは大変ですが、少ないポイントを習得して、多くの漢字に応用することができます。
4巻文章
ひらがな二文字・三文字を続けて書くのが連綿。連綿を交えて書かれた手紙文は一味違います。ひらがなと漢字の調和も学びます。
5巻手紙・ハガキ編
年賀状・暑中見舞いなどの実用書やはがき・封筒の宛名書きの上手な収め方のコツを学びます。手紙文など少し長い文章にも挑戦します。
6巻ビジネス・暮らし編
履歴書やのし袋・芳名簿など、職場や家庭でよく使う文字や書式を学びます。筆ペンやサインペンなどさまざまな用具を使えるようにします。
参考手本集
主な姓や名前・地名や手紙文、はがき文など豊富な例文が大いに役立ちます。

ビジネスでも、日常でも、よく使用されるボールペンですが「ボールペンの持ち方」を教えてください。

ボールペンの持ち方

食事の時を思い出して、箸を動きやすく軽く持ち、そして二本のうち親指の根元の方を抜き取ってください。残った一本がペンの持ち方です。

To have two chopsticks
箸のように二本持つ
Pull towards the base of the thumb
親指の根元の方を抜く

正しい持ち方は余計な力が入らず疲れづらい

人差し指をペンの前面に、中指の先の左側と親指の腹の三点でペンを持ち、手のひらに小さな卵が入る位の空間をつくるように薬指・小指を中指に軽く添えた形になっているか時々確認してみましょう。

How to hold the pen
ペンの持ち方

紙面とペンが接する角度にも気をつけましょう。角度は用具によって違います。
ボールペンはボールが滑らかに回転するように、軸を少し立てて(60~70度)書きます。
万年筆やディスクペン・つけペンは軸を少し寝かして(40~50度)書くと、ペン先の弾力で線に太細の表現が出来ます。
筆ペンは軸を立てて書くことがポイントです。

正しい持ち方が《美しい文字》への一歩です。
子供の頃からの習慣で…と諦めずに、是非挑戦してください。

手紙の書き方について教えてください。

手紙の書き方

手紙には決まった書式があり、親しい友人は別として、ビジネスや目上の人に対しては、書式にそって書くのがマナーです。

手紙は次の4項目で構成されています。

  • 前文   … 頭語・時候の挨拶など
  • 本文(主文)
  • 末文   … 終わりの挨拶・結語
  • あとづけ … 日付・差出人氏名・受取人氏名(敬称)

頭語・結語はセットになっていますので、正しく知って使いましょう。

  • 「拝啓」と「敬具」 … 一般的で多く使われる
  • 「前略」と「草々」 … 前文を省略するとき
  • 「拝復」と「敬具」 … 返信のとき
  • 女性は結語を「かしこ」にしてもよいです。

本文(主文)は前文の続きではなく、改行してから書き始めます。本文が終わり末文にはいるときも改行します。

あとづけは文字の大きさや書き収める位置に注意しましょう。まず、日付を書き、次に差出人氏名を下のほうに書きます。受取人氏名は上のほうに少し大きめに書きます。敬称は「様」が一般的です。

手紙で一番大切なことは、相手に自分の気持ちを伝えることです。昨今パソコンで作成することが多いですが、自筆の手紙は間違いなく伝わることと思います。

How to write a letter
手紙の書き方解説

依田先生、ありがとうございました。

Stroke intimacy

西瑞江書道教室

東京都江戸川区「西瑞江書道教室」
塾長:東儀計子 2015年2月開塾

きっかけは娘の存在

東京書芸学園に通学するきっかけは、娘の存在でした。小学生の娘は左利きそして、私自身も左利きで、小学校1年生から、自宅近くの書道教室に通っていました。中学まで通い続け、高校では、学校で書道クラスに在籍、書を楽しんでいました。

書道教室では、やさしいお母さんのような先生に学び、書の楽しさ、集中する無の時間を子供ながらに気持ちよいと感じていたことを覚えています。

チャンスをもらった書道の経験

高校時代の先生はとても厳しく、遅刻や忘れ物をすると、教室に入れてもらえず、もちろん私語厳禁。
教室は墨の匂いと、ピンと張り詰めた空気感があり、それがまた集中を高めていました。高校では都の展覧会に出品する機会も頂きました。

娘にも右手で書道をさせたい、娘に書の楽しさを教えてあげたいとの想いから、ならば自分もしっかりと習いなおそうと一念発起し、東京書芸学園の門を叩いたのでした。

師範免許取得で開塾、はじめは書初から

書道師範の免許をとり、娘のお友達にお声かけし、思い切って、学校書初め大会の宿題のお手伝いを始めました。

子供達も一生懸命な眼差しや、笑顔、上手くなりたい集中する姿、おもうように書けずに、涙する顔に、昔の自分を重ねて、子供達と一緒に学び、自分も成長したいと思い、開塾いたしました。

今年2年目、まだまだ未熟者ですが、日々精進して、地域の皆様に支えられ、小さな生徒さんに囲まれていることに、心から感謝しております。

Practice of character Penmanship

時には自由に

夏休みの自由作品では、普段の課題から離れて、楽しく作品をつくりました。
自分の書きたい言葉を考え、うちわに和紙を飾りつけして、子供たちが素敵なデザインを考える真剣な眼差しに感動し、指導者としても大いに刺激を受けました。作品には個性が溢れ、お稽古では、なかなかゆっくり会話が出来ませんが、ワイワイと工作しながらに子供達との絆を深められることも大切な時間でした。

Picture to fan

今年も楽しい企画を考えています。子供達にも、字典に当たることや、墨をすることを経験して、書を五感で感じてもらおうと思います。

書くことの楽しさ

今年は書初め大会にむけ、子供達に年賀状をプレゼントしました。これは、書画クラスの鈴木景翔先生の1日講座でご指導頂きました。

『自分らしく。たのしく書けばよいのよ』と先生はおっしゃり、終始笑顔で、ご指導くださいました。
とても楽しい、また学びたいと思うあっという間の時間でした。

願いを込めて

子供達に、一筆入魂とメッセージを添えて・・・・

Stroke intimacy

これは、いままでお稽古してきたことを自信をもって本番に臨んでほしいと願い渡しました。

字に乗る気持ち

上手く書くことより、自分らしく、楽しく、元気よく書いてほしい。字には気持ちも一緒に乗っていくからねと・・・・

書初め大会の後に、『先生、頑張ってかいたよ。楽しくかけたよ。』と笑顔の子。
『緊張しすぎて、うまく書けなかった』と、がっかりする子。
そんな経験が子供達を成長させていると実感します。頑張ることこそが大事で、結果はおまけのようなもの・・・

『継続は力なり』との言葉がありますが、教室では『継続こそ力なり』を合言葉に、コツコツの積み重ねを大切にしています。

今後の展望

東京書芸学園では、特習クラスで吉田佳石先生にご指導頂きました。

学園で学んだことが生きています

始まる前に毎回、先生からのお題を書く時間がありました。

『書けなくも気にしないで、これから覚えればよい』『お手本なしで書くのは大切な勉強である』日付や曜日といったものから、かなの字源、干支等、入学当初は、知識もなく、干支まともに書けない自分が情けなくなるほどでしたが、『毎週続けるうちに、少しずつ覚えられるようになるからと・・・』少しずつ、知識も覚え、字が書けるようになり、あの時間の大切さを、今ではとても感謝しています。

作品をつくる楽しさ

自身が、作品製作を指導して頂いた時にも、『必ず字典に当たりなさい』と呪文のように唱えられ、作品は書くまでの準備がいかに大切であるかを1から丁寧に教えて頂きました。

展覧会に作品を書いていたときも、臨書作品でしたが、字典に当たる大切さ、作品に仕上げるまでには、文房四宝についても、ご指導頂き、悩みながらの苦しい作品制作でしたが、とても勉強になりました。
チャレンジしなくてはわからないこと、大人になっても、生涯学び続ける大切さを改めて、実感できました。

書の知識の大切さ

作品制作を通し自分の、文房四宝の知識のなさ、なにをどう選択したらよいのか、自分に必要なものは何かを考えあぐねていたときに、長野竹軒先生の『はじめの一歩』講座か開講され、飛びつきました。

普段聞けない、道具の基礎から表現まで、貴重なお話を伺い、普段のお稽古に役立つ知識から、作品作り上げる過程まで奥深いお話ばかりでした。毎回、特別講師との対談も、勉強になり、硯の回では、講座後そのまま宝研堂に足を運び、用品を購入したり、各産地の硯を触らせて頂いたりしました。

竹軒先生の淡墨のお話は、墨を混ぜて試墨するなど、まるで科学者のようで、文房四宝を愛してやまない情熱を感じ、とても感動しました。
また、展覧会の解説では書法の話しを聞き、『用筆法・結精法・布置法』お話から、『3頭追うものは1頭も得ず』との言葉が胸に刺さり、今では、お稽古の際に役立てています。

字を書く楽しさを伝えていきたい

現在は、パソコンや携帯の時代でもあり、学校の授業でも書写の時間が少なくなっていて、字を書く機会が減ってしまっています。

それでも字は一生ものだと思います。書を通じて、字を書くことの楽しさ、無の時間、単純に名前が上手く書ける喜びを子供達に伝えていく為にも、私自身が学び、それを子供達に還元し、微力でも地域に役立てるように楽しく頑張っていきたいと、思います。どうぞ宜しくお願いします。

Funny stroke order top

ゆかいな筆順3

筆順の原則

漢字を書く順序には、二つの大きな原則が考えられます。

大原則

1.上から下へ書いていく

2.左から右へ書いていく

この(1)と(2)を組み合わせると、左上から書き始めて、右下で書き終わるのが、最も基本的で一般的な筆順となります。

その他のきまり

1.横画と縦画とが交わる場合は、横画が先。

2.横画の左端が縦画と接する場合は、一般には縦画が先。

3. 【 厂 】 横画に交わる画(たてほこ等)のある場合は、左払いが先。交わる画がない場合は、横画が先。

4. 【 乂 】 左払いと右払いでは、左払いが先。

5.縦に貫く縦画は最後に書く。

6.横に貫く横画は最後に書く。

7.縦画の左右に画がある場合は縦画が先。

8. 「にょう」【 辶 】【 廴 】は後。【 走 】【 是 】【 免 】は先。

これ以外にもまだありますが、これらは学校でえるきまりですので、このきまりに当てはまらない筆順もあります。

Examples-character

旧字体とは

現在一般的に使用されている「処」は、昭和24年に制定された「当用漢字の字体表」に示された形で(新字体)と呼んでいます。それ以前に使われていた形は「處」でした。これが(旧字体)と呼んでいます。また、現在は当用漢字を常用漢字と呼び名がかわり、文字も時代と共に増えて来ました。

新字体は様々な成り立ち

新字体の形は、旧字体のある一部分をとっているものもあり、まったく違った形のものもあります。上記の「処」は「處」の下部の部分をとっています。また、昔から変わっていない文字もあり、旧字体は全部の文字にあるわけではありません。

字典体として旧字は本来の旧字ではないものもある

ここでひとつ注意したい事があります。旧字体には康熙字典体の形だけの字体があります。たとえば「廣」や「續」などは字典体としての旧字体ですので、書き文字には適しません。字典体は活字ですので活字のデザインや装飾された形と思います。従って古典の中にはなく、書き文字としても書きずらくなっています。良く使うものを取り出して本来の旧字体を左に示していますので参考にしてください。

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書写体とは

私たちの周囲には、名前や地名などで学校で習った字とは少し違う形の字をよく見かけます。現在使われている「崎」の字は、昔は「﨑」・「嵜」・「㟢」などと書かれていました。この形は現在でも使われています。また「高」が「髙」のように書いた字も見かけます。字典の形とは違った字体のことを、(書写体)といいます。

作品に取り入れたい書写体

この(書写体)は古典などに、よく出て来ますので皆さんも時折り目にする機会があると思います。

また、作品などを作る折りにはこの(書写体)を取り入れると、伝統を重んじたものになり格調も高くなってきます。(旧字体)と違って種類もくさんありますので、覚えるのも大変ですが、ぜひ学んで欲しい字体です。

書写体の草書

また(書写体)は草書にも繋がりがある文字もあるように思われます。(左の図を参考に)左の(書写体)はよく見かける文字を掲載していますので、参考にして学習して下さい。この他の文字もぜひ調べて見て下さい。

※(書写体)は小・中学校生に、教えると学校では×になりますので注意しましょう。

SHOSYA-character-form

古典アイキャッチ

古典について

蘭亭序はなぜ数種類あるか

清の時代、書斎名を『二百蘭亭斎』と名づけたのは呉雲という人でした。これは蘭亭序を二百種類も持っているぞ、という自負?からの命名でしょうか。「八百蘭亭」などという言葉も伝わっています。

宋時代、蘭亭序は「士人であれば一家に一石を蔵す」と言われるほど流行したと言います。

全文324文字の豊かな変化と調和

蘭亭序は353章、王羲之により書かれました。春三月の好日、著名人達を詩酒に興じる雅宴を催しました。その時作られた詩集の序文(草稿)が蘭亭序なのです。

全文324文字、どの文字を採っても、豊かな変化と調和があり、後日、何度清書を試みても、草稿に優るものは書けなかったとして、この蘭亭序を大切にしたといいます。
更には、唐の文人皇帝・太宗が王羲之の書を熱愛・収集したことが、羲之の書名を高めたことと相乗して、古今無比の名帖となったのです。

蘭亭序が数多く残っている理由

蘭亭序を入手した太宗皇帝は、時の名人、欧陽詢・虞世南・褚遂良などに臨書(=臨本)させ、また職人には、敷き写し(=模本)をさせ、コピーを沢山作らせて多くの者に習わせたといいます。これらが数多くの蘭亭序を生む経緯と考えられます。

その後、太宗皇帝は649年死に臨んで遺言し、自身の陵墓へ蘭亭序を持っていったといいます・・・。

拓本蘭亭序「神龍半印本」当会理事 臼井南風先生蔵
拓本蘭亭序「神龍半印本」当会理事 臼井南風先生蔵

弘法大師 空海の手紙「風信帖」は誰宛?

風信帖は、空海が最澄に返書した消息(しょうそく)です。消息とは手紙のこと。即ち、最澄宛の消息ですので、はじめは最澄の比叡山延暦寺に保管されていたことになります。

三通からなる風信帖

現存の封信帖は、消息三通を一巻の巻物に仕立てたもの、一通目の書き出し、「風信雲書・・・」から『風信帖』と命名されました。
二通目は「忽披枉書・・・」から『忽披帖(こつひじょう)』、三通目は「忽恵書礼・・・」から『忽恵帖(こつけいじょう)』とされそれぞれ独立して呼ばれます。そして三通を総称して風信帖と呼ばれているのです。

ほんとうは5通あった!?

面白いことがこの一巻の最後、奥書に書かれています。消息はもともと五通伝来したと書かれています。

消えた二通は?一通は、盗難にあい紛失したと書かれています。“目利きの盗賊?“の仕業だったのでしょうか。もう一通は、時の権力者、関白豊臣秀次が所望した為、割愛したのだそうです。秀次は、四通中一番優れたものを欲したのでしょうか?

風信帖の魅力

風信帖の魅力を簡潔に言えば、「風信帖」は、格調高く豊かな変化の美がみられる作。「忽披帖」は、筆圧ある太線で重厚な迫力ある作。「忽恵帖」は、運筆のリズム・流れに優る作。と言えると考えます。

目利きの盗賊は別として、秀次が入手した消息が現存の三通以上のものだったとしたら・・・。
風信帖とは書学習に不可欠であることは言うまでもなく、あれこれ想像する楽しさも有するのが、風信帖なのです。

俯仰法とは

筆づかいに直筆(ちょくひつ)と側(そく)筆(ひつ)のあることをご存知ですか?また、直筆と側筆はどちらがいいのでしょうか?筆づかいは書線を生む重要な要素です。勉強・追求していくことは書を志す人の大きな課題の一つです。

直筆と側筆

直筆とは、筆の軸=筆管(ひっかん)を垂直に構えて書くこと。紙に対して筆を90度にして書き進めることです。
代表者は唐の顔真卿の楷書を挙げることができます。これに対して、筆管を左右・上下などに傾けて書く筆づかいを側筆といいます。やはり唐の褚遂良の楷書や行書などに顕著に表現されています。

直筆と側筆が表す線とは

結果、直筆は鋒先が線の中心を通るため、丸みのある線となり、柔らかさ温か味を感じさせる書線となります。反面、変化に乏しい表現ともなります。

側筆とは、筆の鋒先が線の上部や下部また中心を通るので、線の太細、線質の強さ、粘りなど豊かな変化ある線質で表現できることになります。

変化の用筆

この側筆を用いた用筆が『俯仰法』です。即ち、俯仰法は「変化の用筆」と言っていいと思います。筆菅を傾けて手首を使った技術的な筆づかいです。

横画で具体的に簡略してみます。まず始筆では手の甲が見えているとします。=伏せた状態。

伏せた状態
伏せた状態

雁塔聖教序の横画に見えるように送筆部では右方向へ書き進むにつれ、掌(たなごころ)が上を向く、見えてきます。=仰ぐ状態。

仰ぐ状態
仰ぐ状態

そして終筆ではまた手の甲を上にして終わる要領です。手首を使って 甲→掌→甲 と繰り返してみてください。ゆっくりと。

古法と新法

王羲之や褚遂良などの用いた俯仰法は、「古法」と呼ばれました。先の顔真卿の直筆による楷書「新法」が誕生したからです。

紙は何でできているアイキャッチ

紙は何でできている?

紙つくり

現在、和紙作りを支える原料は楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)の三種が中心です。これらの原料が紙になるまでには、紙の種類にもよりますが、だいたい十前後の工程を経なければなりません。

紙つくりの工程

  1. 水浸漬
    原料をひと晩水につけて柔らかくする。
  2. 煮熟
    消石灰かソーダ灰を混ぜて煮る。時間は約2~3時間。そのままひと晩釜の中に放置する。
  3. 水洗い
    煮熟したあとの原料を水洗いし、繊維だけを取り出す。
  4. 漂白
    天日漂白と塩素漂白の方法がある。漂白後は再度水洗い。
  5. チリ取り
    水の中で少しずつ原料を広げて取る「水より」と、板の上などに原料を広げて取る「空より」のふたつの方法がある。
  6. 打開 繊維を細かくするため原料をよく叩く。機械を使うこともある。
  7. 手漉き
    原料にトロロアオイやノリウツギなどからとった「ねり」を混ぜ、簀(す)桁(けた)で漉きあげる。流し漉きという方法が主流。
  8. 圧搾
    漉きあげた紙を重ね、その重さで余分な水分を抜く。
  9. 乾燥
    紙を板に貼って天日で乾燥させる方法と、三角柱の鉄板のなかに蒸気を送り込んで熱し、鉄板に貼った紙を乾かす方法。

和紙作りは、手間も時間もかかる大変な仕事です。また紙漉きは大変な肉体労働です。紙漉き職人さんたちの努力と技の結晶ですね。

漢字用とかな用

紙には漢字用とかな用がありますが、まず紙とは、

  1. 書作品等を表現するための用紙
  2. 書作品等を表現するための用材

です。

用紙、用材の種類は

  1. 和紙
  2. 中国画箋
  3. 台湾画箋
  4. 中国系加工紙
  5. 絹本(けんぽん)その他

などです。

漢字用紙(1. 2. は主に学童用の書写用半紙)

パルプ紙

墨の吸収がやや弱い

機械漉き

  1. パルプ紙に近い用紙
  2. パルプ紙だが墨の吸収が少し良い
  3. 機械漉きでにじみにくい用紙
  4. 機械漉きで少しにじみが出る用紙

手漉き半紙

和紙の伝統を受け継ぐ半紙
画仙半紙

かな用紙

  1. ロール紙
  2. 機械漉き+加工
  3. 手漉き+加工等
  4. 手作り加工紙
    扇面継ぎ紙
    扇面継ぎ紙 赤の部分に切箔が散らしてある

    扇面文様
    扇面文様 文様がある

にじむ紙は「かな」には不適当といわれていますが、最近は「かな」の作品でも漢字の紙を使用した作品が、かなり見受けられます。ただ初歩のうちはにじむ紙は書きよい紙とはいえませんね。

こんな紙もある

染め紙には、浸(つけ)染め(紙を染料の中に浸して染める)と 漉(すき)染め(濃く浸染めした料紙をほぐしてもとの水溶液状にもどし、それを別に漉いた白紙の上に流しかけて染める。部分的に置いたものを雲紙(くもがみ)、飛雲(とびくも)などという)、最後に引(ひき)染め(紙面を刷毛(はけ)で染める)などの方法があります。染め紙は原紙に色がつきますが、紙質は変わりありません。

装飾紙の「から紙」

次に型文様(かたもんよう)の美しい紙は「から紙」といいます。

から紙は平安時代に輸入された中国製の装飾紙のことをいいましたが、次第に日本でもつくられるようになりました。嬉しいことですね。
手漉き紙に具引(ぐび)き(胡分(ごふん)を膠(にかわ)で溶いて刷毛で塗ること。胡分は貝殻を細かく砕いたもの)し、その上に版木(はんぎ)の文様を雲母(きら)で摺り出してつくります。具引きすることで、もとの紙とは書き味が変わります。

料紙の上下規則

料紙には、さらに「切(きり)箔(はく)」「野毛(のげ)」「砂子(すなご)」などの金銀箔の装飾が加えられます。

二色以上着色された料紙は、原則として空色が上、茶色が下です。
文様のあるものは、その方向に従って上下を見定めます。

皆さんも美しい料紙に挑戦をしてみませんか。

オレンジに文様
オレンジに文様 金銀箔が散らしてある
ぼかし模様
ぼかし模様 ぼかしの料紙に模様がある
金銀箔1
さらに濃い料紙に金銀箔・野毛模様がある
金銀箔2
金銀箔・野毛の模様違いの例その1
金銀箔3
金銀箔・野毛の模様違いの例その2
左右に模様1
左上と右下に模様がある
左右に模様2
左上、右下模様の料紙で模様違いの例
六車書道教室トップ

六車(むぐるま)教室

香川県さぬき市「六車(むぐるま)教室」
塾長:六車紀子 2014年12月開塾

自己紹介

私は香川県で教室をしている六車紀子と申します。

幼稚園の頃に硬筆、その後習字を始めて20歳頃まで教室に通っていました。教室を辞めた後は自分で通信講座を続けて、平成16年に普通科師範の資格を取得しました。

それからしばらく『書』から離れて過ごしていましたが、3年程前に知人から賞状の名前を書いてくれないかと頼まれた事をきっかけに、再び『書』を始める事になりました。時間を見つけて書いていましたが、通信講座が途中で止まっていた事を思い出し、やるからには最後まで、正師範取得を目指してみようと思い立ち、助言をいただこうと恩師に連絡したのが転機となりました。

恩師の言葉

「普通科師範の資格を持っているなら、教室を開いたらいいよ。大丈夫、出来るよ!」と背中を押していただきました。
ブランクもありましたし、自分が教室を開くなんて深く考えた事もなかったので、本当に出来るのかどうか悩みましたが元々子どもと関わる仕事がしたかった事もあり『書』を通して子どもと向き合っていけるのではと考え、思い切って平成26年12月、六車教室として開塾しました。

自宅の一室を利用し、当初は我が子2名だった生徒も少しずつ増え、今では10名となりました。
分からない事は恩師に教えていただきながら、小さい教室ではありますが自分が教室を開く事が出来た喜びと楽しさ、そして責任を感じながら、週3回の教室に望んでいます。

学習風景 習字
学習風景 習字
学習風景 硬筆
学習風景 硬筆

指導する楽しさ

前述した通り、私が再び書く事を始めたきっかけは賞状の名前書きでした。
何年かぶりに嗅いだ墨の香り、筆やペンを持ち、紙に向かった時のピッと張り詰める空気と緊張感。やっぱり好きだなと改めて感じたのです。

文字を書く楽しさを伝えたい

字を書くという事は、私達にとって切っても切れない事であり、であるならば、少しでも綺麗に書ければ日々の生活の中で楽しいと思える時間が増えるのではないかと思います。

開塾した時、とにかく字を書く事が好きになる、そんな教室にしたいと考えていました。
生徒が過ごす1時間を、書くって楽しいと思える時間にしたい。その為に自分がどう指導していけば良いのか。いつも気をつけているのは、必ず褒めるという事です。

上手く書けた時、言われた事に気をつけて書けた時などしっかり褒めて、やる気の向上に繋がるようにしています。

その先も楽しんでもらえるために

また、なるべく個々の性格にあった指導が出来るように時には雑談を交えてその中に出てきた言葉を書かせてみるなど、楽しい時間も作るようにしています。

私1人が前に向かって進むのではなく、生徒達と一緒に前に進む教室を作っていきたいと考えています。
「私、大学生になっても来るよ!」
「学校で字が綺麗って褒められたんで!」
「先生がハナマルつけてくれた!」
子ども達のそんな声を聞くと、現在の状況に満足したり、1つの指導法にこだわりすぎる事がないように、これからもまず私自身が楽しんで教室に望んで行きたいと思います。

塾生の毛筆作品
塾生の毛筆作品
塾生の硬筆作品
塾生の硬筆作品

指導方針

生徒に字を教えるに当たって心がけている事は、学年に応じた表現で伝える事と、学校で習う国語や書写の進み具合・字の形に沿って教える事です。

分からない時には基本講座のテキストで確認してから指導します。お手本を見て書くだけでなく、字の形がどうなっているか、角度や硬筆なら鉛筆、毛筆なら筆の動きをなるべく言葉で伝えるようにしています。

なるべく年齢に合わせた指導を

幼児や低学年の生徒には、鉛筆の正しい持ち方での運筆練習に迷路遊びを取り入れたりもしています。

部屋の関係で1回の定員が4名までという少人数での教室ですので、アットホームな空気が利点でもあり難点でもあると考えています。
リラックスしすぎて、書く事に集中出来ない時には少し休憩を挟んだり、いつも利用しているノートではなく真っ白の紙に自由に書かせてみるなど、書く事に対して気持ちが前向きになるように工夫してみます。

苦労のご褒美は嬉しそうな生徒の顔

逆に、全員に目が行き届く距離をうまく活用できるように、生徒にはいつでも質問して良いよ、と話をしています。自分の指導法が正しいのか、試行錯誤を繰り返しながら取り組んでいます。

教室を始めて、人に字を教える事の難しさと自分の知識や力量の無さに悩む時もありますが、生徒の一生懸命に書く姿、褒めてあげた時の嬉しそうな顔、何より字が上手になりたいという気持ちが伝わってきた時、教室を開いて良かったと思います。

ゆかいな筆順2トップ画像

ゆかいな筆順2

楷書と行書では筆順が変わる

楷書

漢字の書体の一つ。点画を正確に書き、現在最も標準的な書体とされている。隷書から転じたもので、六朝(りくちょう)(BC222~589)中期に始まり唐(BC618~690,705~907)のころに完成した。真書。正書。

行書

漢字の書体の一つ。楷書と草書の中間の書体で、楷書の点画をくずして、続け書きにしたような書体。中国後漢(BC25~220)の劉徳升(りゅうとくしょう)からはじまったというが明らかでない。隷書の速筆から生じ、東晋の頃には成立した。

筆順と崩し方

書き順・筆順というのは字を書きやすくするためのガイドであって筆順が違っていても字が違ってしまうわけではありません。ですから同じ字でも何通りもの筆順が実際にあります。

「筆順が変わる理由」を端的に言えば、目指す字のカタチが違うからです。「書」という字も、行書では先に横画と日までを一気に書いて最後に縦画、という流儀の人が多いようです。

行書では崩し方が1つだけとは限らず、何種類もの崩し方があります。だから同じ字でも、楷書と同じ書き順の崩し方もあれば、違う崩しかただと書き順も違ってくるということを理解してください。

崩し方の違いと書き順の違い
崩し方の違いと書き順の違い

凹凸に筆順知っていますか?

記号や絵文字のように見えますが、凸は中学レベルで学ぶ立派な常用漢字です。この凸の筆順を左上の縦画から「タテ派」一方、左上の横画から始める「横派」と2通りあります。

縦派と横派

どちらがただしい筆順なのでしょうか。実は「どちらもあり」なのです。

凸は教育漢字に含まれなかったので、何かよりどころがあるとすれば筆順の大原則だけ。その大原則とは2つあり「上から下へ」そして「左から右へ」です。各漢和辞典では、この大原則を当てはめて類推しながら筆順を記しています。

凸の字は、原則の「上→下」「左→右」のどちらを取ったら良いのか微妙です。どちらをとっても原則通りともいえ、辞典によって筆順が違っても、それはそれで「あり」というわけです。

凹凸を細かく見てみよう

「凹」「凸」という漢字がある。字音はそれぞれ「オウ」「とつ」である。これらを漢和辞典で引くといずれも 凵 部・総画数5画となっている。では、どのように書くのだろうか。下の図であらわしたのものが、代表的な筆順である。

凸凹の筆順
凸凹の筆順

最高各数の文字は?

私たちが普段使っている漢字の中には画数のやたら多い漢字があります。常用漢字の中では常用漢字2136字の中で最も画数の多い漢字は、「鬱」で29画です。

常用外だとこんな漢字

「漢字源」の中では学研の漢字源で見てみると最も画数の多い漢字は読み方を「ガツ」といい、なんと35画です。中国の古典などに見られる漢字ですが、日本では使われていないようです。

画数の多い漢字その1
画数の多い漢字その1

大漢和辞典から画数の多い漢字

35画を上回る画数の漢字で両方とも64画です。読みは「セイ」で意味は分かっていません。もう一つは「テツ」で意味は「言葉が多い」という意味です。

画数の多い漢字その2
画数の多い漢字その2

「おとど」は苗字の一つと言われていますが、実際に存在したかどうかは不明の伝説の苗字。実際に使用されたかは定かではありません。

「ホウ」は雷の音という意味です。

「ゴツ」は世界最大の144画!よくしゃべる人のような意味です。

因みに、漢字の画数が最も少ないのは1画で「一」「乙」などがあります

漢字のテストです。やってみましょう!

次の語句で○・×(正・誤)をつけてください。回答はスクロールするとあらわれますので注意してください。

正しい漢字はどれでしょう(問題編)
正しい漢字はどれでしょう(問題編)

上記問題の正誤です。

正しい漢字はどれでしょう(解答編)
正しい漢字はどれでしょう(解答編)

続いて正しい読みに○・×(正・誤)をつけてください。回答はスクロールするとあらわれますので注意してください。

正しい読み方はどれでしょう(問題編)
正しい読み方はどれでしょう(問題編)

上記問題の回答です。

正しい読み方はどれでしょう(解答編)
正しい読み方はどれでしょう(解答編)

いかがでしたでしょうか?美しい文字を書くためには、意味に合う正しい漢字や正しい読み方を知ることも大切な学習の一つです。ぜひ習得なさってください

墨の原料/墨作りの様子

墨は何でできている?

こんな墨をもある

ある講演会で聞いた話です。松煙墨は紀州田辺の名産でした。紀州藩として作っていたもので一家相伝の仕事として伝わったそうです。正に門外不出の仕事でもありました。

最近、中国の墨の隆盛期、明代、清代の墨、所謂名墨はほとんど目に触れなくなりました。

和墨

でも名墨は中国だけではありません。日本製の「和墨」でも良い墨はあります。
最近では「百選墨」「千寿墨」という墨です。

筆者は、墨が大好きで、この墨を見かけるたびにと購入していた時期があります。とにかく墨色がいいのです。油煙、松煙どちらも素晴しい。これは良い材料を腕のいい職人さんが手塩にかけて作ったものですから。

唐墨と和墨の違い

では中国産「唐墨」と日本産「和墨」の相違はというと、唐墨は木臼や石臼で捏ねて作るそうです。和墨は職人さんが手で捏ねています。これが最も大きな違いでしょう。

使用して分かるのは「唐墨」は摺ると堅い感じがします。聞けば、唐末の名墨は水に浸けておいても柔らかくならなかったそうです。一方の和墨は摺って見ると柔らかです。これは良い悪いではなく、墨の個性でしょうか。

日本最古の墨

現在、日本に残っている墨で最も古いのは、正倉院にある唐製の墨です。高句麗の僧「曇徴」が紙、墨を持ってきたと言われています。

日本で最初の女帝「推古天皇」の時代。聖徳太子の同世代の頃の墨が保存されています。機会があればご覧になってください。

百選墨 上から(景宝談経、喜得連科、玄松)
百選墨 上から(景宝談経、喜得連科、玄松)

 

千寿墨 天平瓜形鈴 その1
千寿墨 天平瓜形鈴 その1
千寿墨 天平瓜形鈴 その2
千寿墨 天平瓜形鈴 その2

墨・漢字用と仮名用

墨は煤(炭素)と膠、そして香料を混ぜ合わせて作ります。
墨つくりでも、少し触れましたが、実は大変な作業です。混ぜるものの種類が少ないだけに、その製法はなかなか単純ではないようです。

粒子の違いが肝

通常、漢字、仮名とも同じ墨(原料は同じ)を使用しても何ら問題はありませんが、「漢字」用の墨とは言わないと思いますが、「仮名」用の墨と表示してあるのをご覧になった経験はありませんか。

通常の墨、ここでは「漢字」用の墨ですが比較的炭素の粒子は粗いものが多いようです。

「仮名」用の墨というのは、同じ原料から採取する煤の違いがあります。煤を採取するのに、上の方の煤を集めます。これは、煤が上の方に行くにしたがい粒子が細かくなるのです。原材料が鉱物性・植物性にかかわらず煤は上の方が細かいのです。

大作は別に、仮名は線が細い線で書くことが多く、粒子が細かく線の伸びが良い方が仮名を書きやすいからだと思います。市販されている仮名用の墨は、いずれもやや小ぶりで、価格は高価です。これは上に行く煤が少なく採取に手間がかかるからだと思います。

仮名を書くのに適した墨

経験では、仮名を書く際には和墨の方がしっくりいくようです。料紙を使用する時も和墨の方が紙にのり易い。
因みに中国産の墨を「唐墨」と呼んでいます。

漢字用墨
漢字用墨

 

仮名用墨
仮名用墨

墨つくり

今、墨を磨っている方はどの位いらっしゃるでしょうか。知り合いの書道用品展の専務さんに伺ったら、墨の売れ行きが悪くて、と嘆いておられました。「ほとんど墨汁ですね。売れるのは」とも。

墨は固形墨と液体墨があります。

墨の原料は、松や植物油、菜種油などを燃やし、お皿を逆さまにしたような容器に煤を集めます。最近では、石油やカーボンも使用されています。その煤に香料を混ぜ、膠を溶かしたものを煤と混ぜ合わせ練り込む。これが大変な作業。職人さんの手は真っ黒。その練ったのを木型に入れて墨の形にします。その後倉の中に入れて乾燥させます。出来たばかりの墨はゴムのように柔らかですよ。

握り墨

「握り墨」ってご存じですか。ある時、デパートで実演をやっていまして、練ったばかりの墨を手で握っただけで販売していました。
そのまま家に帰り押し入れの片隅に追いてあります。

墨作りは繊細な作業

墨つくりは大変デリケートな作業です。
同じ墨を作るにも温度、湿度により、それぞれの原料の配合を変えるそうです。煤の種類により青墨や茶墨などになります。

以前、「墨について」の講演を聴きました。
昔は、樹齢、樹脂に富んだ松を探し、傷をつけに三・四ヶ月放置して樹脂が吹き出た良い松のある山に障子のある小屋を作り、二人でそこに籠もって良煤を手に入れるために作業したそうです。凄いですね。

墨作りの様子
墨作りの様子